鵬翔の記念碑

第16代校長 芳之内 亮

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校長室よりブログ

令和2年度第2学期始業式式辞

 皆さん、おはようございます。いよいよ今日から第2学期のスタートです。今年の夏休みは1週間余りの短い休みでした。依然新型コロナウイルス感染症の拡大は収まらず、感染者発生の記者会見が毎日行われています。学校生活も、授業、補習、部活動と元の活動に戻りつつあります。しかし、油断大敵です。しっかり感染症対策をしたうえでの活動を絶えず頭の中にいれておいてください。来週行われる運動会も、新型コロナウイルス感染症拡大防止を考えたものとなります。感染症が流行している今しかできない、演技や種目もあるのではないかと楽しみにしています。また、今月に入って猛暑が続いています。くれぐれも熱中症には気を付けてください。

 先日ある雑誌のお悩み欄に、「いい子でいなければ愛してもらえない」という思いが強く、「自分は見捨てられるのではないか」という不安を持っています。そのため、友人との距離感もうまくつかむことができず、メールの返信がすぐに来ないだけで不安になったり、相手の意に沿えるようにと必要以上に頑張ったりしています。この不安をどうすれば克服できるでしょうか、というものでした。皆さんの中にも、周りの人のこと気にしすぎている人がいるのではないかと思います。

 私たち人間は、他人から認めてもらいたいという承認の欲求は誰もが持っており、それが人間の向上心につながっています。しかし、幼少期のいい子であろうとする努力が適切に評価されないと、相手からの評価に過度に反応して、自分を見失ってしまうことがあります。他人に認められたい、という気持ちを少しだけ見つめなおし、相手の評価を気にせずに、主体性と責任感を持って生きていく意志を固めることが大切だと思います。中国の古典に「徳は孤ならず」(論語)とあります。人として正しい生き方に徹すれば、必ず理解者が現れる、ということです。他人の評価を気にして生きるのではなく「自分の人生の主役は自分だ」と考えることが必要です。

 次に、「見捨てられたらどうしよう」ということです。確かに、他人に見捨てられることは、つらいことです。しかし人生は味わい深いもので、思いがけず見捨てられてしまうこともあるかもしれませんが、「捨てる神あれば拾う神あり」で、試練の中で持ちこたえていると、誰かが必ず見守っているものです。したがって、他人に期待するのではなく、「自分は人を見捨てない」という思いを胸に、失敗を恐れず、明るく強い気持ちで生きればよいと思います。考え方や気持ちを変えることは難しいことですが、人生は自分への挑戦です。一日一日を大切にして前向きに頑張っていきましょう。なお、本校にはこういう悩みや相談をうける教育相談担当の先生がいます。理科の尾崎先生、そして1週間に1度みえられるスクールライフアドバイザーの山本先生もいらっしゃいます。秘密厳守で、温かく丁寧に対応していただいています。遠慮せず利用してもらったらと思います。

 この2学期も皆さんの生き生きとした、そして活躍している姿をみることを願って式辞とします。

 令和2年8月24日

 愛媛県立伊予高等学校長 芳之内 亮

 

令和2年度第1学期終業式

みなさん、おはようございます。令和2年度第1学期終業式に当たって、2つのことを述べたいと思います。

 まず一つ目は、自分の命は自分で守る、ということです。先日1年生は岩手県陸前高田市にある津波伝承館の「オンライン語り部」の授業がありました。その中で、自分の命を守るため各自が一目散に高台に逃げる、「津波てんでんこ」の重要性を説かれておりました。そして、愛媛でも2年前の7月、南予地方を中心に豪雨災害が発生しました。多くの方が被災され、いまだ完全には復旧していないのが現状です。そして、今年、6月下旬から7月にかけて、この松前、松山でも大雨警報、洪水警報が連日発表されたのは記憶に新しいところです。本校でも7月7日は洪水警報のため、臨時休業、また1週間後の14日は午後からの登校となりました。また、夜中に自分のスマートフォンから避難勧告のアラームが鳴り、目を覚ました人も多かったと思います。

 みなさんは、自分の居住地、通学経路のハザードマップを見たことがあるでしょうか。伊予高校がある松前町は、皆さんも知っているとおり、愛媛県の中で唯一、山がない町です。したがって、土砂災害による大雨警報はでません。また、松山市でも山がない余戸地区や雄新地区も土砂災害の避難指示は出ないことになります。まず、自分の居住地区の状況が土砂災害が起こる地域なのか、浸水災害が起こる地域なのか、を自治体が出しているハザードマップ等で知ることが大切です。先日の大雨については、本校の非常変災時の登校の規定が複雑であったために、判断に迷った生徒、保護者の方がいました。そこで、分かりやすい基準に変更しました。この後、連絡がありますのでしっかり聞いておいてください。

 しかし、たとえ発表されているレベルが何であっても、大雨が降っていたり、川があふれていたりすることもあります。自分の命が最優先です。警報や避難指示に関係なく、自分の命を守る行動をとってください。そして、自分の安全が確保されてから、学校に連絡してください。

 二つ目です。このコロナ禍の中で先日うれしいニュースがありました。それは、将棋の藤井聡太7段が7月16日、渡辺明三冠を破り、3勝1敗で「棋聖」のタイトルを手にしたことです。藤井7段は現在「18歳1カ月」高校3年生で、1990年に屋敷伸之九段が打ち立てた最年少記録「18歳6カ月」を30年ぶりに更新しました。中学生でプロ棋士になり、ついに初タイトルを手にしました。報道等でしばしば取り上げられているので皆さんの中にも知っている人が多いことと思います。

 タイトルをとった直後のインタビューで、藤井棋聖はこう聞かれます。「コロナの関係で対局出来ない期間が2カ月ほどありました。対局が再開してから、非常に絶好調だと思いますが、その理由はどこにありますか」

「4、5月はしばらく対局があきましたけど、それで自分自身の将棋を見つめ直すことが出来たのがよかったかな、と思っています。現状の自分の将棋の課題というのを見つけて、それを改善する、という感じでやっていました」コロナで対局はできなかったけれど、自分の将棋を見つめなおすよい期間となった。まさに、ピンチをチャンスに変えた例だと思います。

一夜明けた記者会見で藤井棋聖が揮毫した色紙を見て、びっくりしました。そこに書かれていたのは「探究」というふた文字。伊予高校が積極的に取り組んでいるのも「探究」。

 なぜ、この言葉を揮毫したのか聞かれた藤井棋聖は「将棋は本当に難しいゲームで、この立場になってもまだまだわからないことばかりと感じるので、これからも探究心を持って、盤上に向かっていきたいという思いです」と語っています。課題を発見し、そして自らがその課題解決のために調べ、まとめ上げていく、この探究の時間。皆さんにもこの伊予高の探究の時間を大切にしてほしいと思いました。

 自分の命は自分で守ること、藤井聡太棋聖のことを話しました。以上で終わります。

 

令和2年度入学式式辞

 はじめに、今年の入学式でありますが、新型コロナウイルスによる感染症防止のため、時間短縮、規模を縮小していること、御理解頂きますようお願いいたします。また後ほどホームルーム担任より、開校するにあたって御家庭へのお願い、学校における対策などを記載したプリントをお配りいたします。生徒の生命を第一に考え、学校運営を行って参りますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 今年は暖冬のため、桜の開花は例年より少し遅くなりましたが、皆さんの晴れ姿を祝うかのように満開の桜が町のあちらこちらに見られます。短縮・縮小はいたしましたが、新入生を迎える式典を挙行できますことは、本校関係者一同、大きな喜びであり、心のこもった式にしたいと考えております。

 また、保護者の皆様方におかれましては、お子様の高校入学という記念すべき日を迎えられ、喜びもひとしおのことと拝察いたします。心からお慶び申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました180名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。在校生、教職員を代表して皆さんの御入学を心から歓迎いたします。

 伊予高校は昭和58年、ここ松前の地に誕生いたしました。今年度入学する皆さんは38期生となります。13000人あまりの卒業生は全国各地で、各方面で活躍されています。そして、新入生の皆さんも、今日この日より伊予高校の生徒として、ここに新たな一歩を踏み出しました。皆さんは令和初めての入学生であります。新しい時代に、高校生活を始める皆さん、今のこの新鮮な気持ちをいつまでも持ち続け、しっかりとした目標を立てて、高校生活に臨んでほしいと思います。

 私は、本年度伊予高校の重点努力目標を、「自らの力で、自らの未来をきりひらく生徒の育成~総合科目選択制度と探究活動の実践をとおして~」といたしました。全国のほとんどの学校が一斉に休業する、という前代未聞の状況が今まさに起こっています。私は、このような激動の時代を乗り切るための力を、皆さんに身に付けて卒業して欲しいと考えています。その力とは言語能力、自律力、情報活用能力、協働力、自己表現能力、想像力、思考力、行動力、課題解決能力、の九つです。

私たち教職員は、この九つの力をこの3年間で身に付けてもらうために、常に皆さんを中心とした学校づくりに取り組み、皆さんの期待に全力で応えて行きたいと思います。どうか皆さんも私たちに全力で応えて下さい。そして、本校のシンボルである伝説の鳥「鵬」のように、大きく翼を広げて羽ばたいていただきたいと思います。

 探究活動のことについて少し話します。伊予高校はこの探究活動を重視しています。皆さんは中学校でも総合的な学習の時間で学んでいますが、高校では課題を自らが見つけ出し、それを解決するためにどうすればよいかを、調査、研究し、発表します。自分でテーマを決めるのです。自分のアンテナを大きく広げて、現代社会に存在する諸課題を見つける眼を養って下さい。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねて御入学のお慶びを申し上げます。この15年間、様々な御苦労があったかと存じますが、お子様をここまで立派にお育てになったことに対し、心より敬意を表します。

 本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。我々教職員一同、本校の教育に誇りを持って全力で取り組んで参ります。必ずや、いまだあどけなさが残る少年達を、心身ともにたくましい大人の若者へと成長させることをお約束します。お子様の成長に向け、保護者の皆様とともに取り組んでいきたいと考えておりますので、何卒、御支援、御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、3年後の卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「伊予高校に来て本当によかった」と思えることを心から願い、私の式辞といたします。

 

令和2年4月8日

愛媛県立伊予高等学校長

芳之内 亮

 

第1学期始業式式辞

 おはようございます。新型コロナウイルスによる感染症防止のため、放送による始業式となりました。今私たちは、困難な局面に直面しています。この1年間私は皆さんに激動の社会を乗り切るために、伊予高校は改革を行っているのだ、と事あるごとに訴えてきました。その激動が今まさに起こっています。明治時代、学制発布以来、つまり学校という制度ができて以来、感染症による全国一斉の臨時休業など、初めてのことです。皆さんも初めてのことでしょうけど、私たち教職員も初めてのことです。しかし、これまでの歴史を振り返ってみても、感染症との戦いに人間は常に勝利を収めてきています。ただ、これだけのグローバル社会の中で起こった感染症は、今回が初めてです。まさに今のこのような激動の社会を生き抜くために、伊予高校では皆さんに身に付けさせたいと考えているのです。そして、皆さんに身に付けて欲しい力を九つ提案したいと思います。これは昨年度先生方が皆さんの状況を見て、考えた力です。言語能力、自律力、情報活用能力、協働力、自己表現能力、想像力、思考力、行動力、課題解決能力、の九つです。私たちは学校で行う全ての教育活動において、この九つの力を皆さんに身に付けてもらうため、努力します。皆さんもその力を意識して活動してもらいたいと思います。

 そして、もう一つ、大切にして欲しいことを述べます。皆さんも分かっていると思いますが、学校は勉強だけをするところではありません。部活動をはじめとして、学校行事、生徒会活動、ホームルーム活動を行うことで、立派な社会人になってもらう、立派な人間になってもらう、つまり立派な人格を形成する場でもあります。

 日本の学校では1日わずか10分でありますが、清掃活動があります。学校で清掃活動する国は日本だけ、とも言われています。なぜ、学校には清掃活動があるのでしょうか。一つの詩を紹介したいと思います。

 

  おそうじする

 きれいにおそうじをすると

 貧しくても美しく生きられる

 きれいにおそうじをして

 お客様をむかえよう

 見えないところをきれいにすると

 自分を磨くことができる

 すてられたごみをかたづけると

 日本を美しくすることができる

 みんなでおそうじをして

 青い地球をきれいにしよう

 

 これは長野県にある円福寺の和尚さんであった藤本幸邦(ふじもと・こうほう)さんという方がつくた詩です。温かくていい詩です。皆さんは掃除をしたあと、きれいになって、心も気持ちよくなりませんか。モヤモヤが消えてなんか心がうきうきしてきませんか。掃除は床や机、棚を拭いて、確かに物を磨いてきれいになります。しかし、実は物を磨くことをとおして、心も掃除してきれいにしていると思うのです。

 見えないところをきれいにできる人は、一生懸命掃除をしている人です。だから自分を磨き、強くすることができます。いい加減にする人は、見えないところまで気持ちが届きません。だから自分を磨くことはできません。みんなで掃除をして身の回りもそして、自分たちの心もきれいにして欲しいと思います。

 それでは今年度、様々な場面で皆さんが限界に挑戦し、はつらつと活躍している姿を見られることを楽しみにして、第1学期始業式の式辞とします。

 

令和2年4月8日

愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮

 

令和元年度を終えるにあたって

 今年の冬は、例年以上にとても暖かく、寒さが苦手な私には大変過ごしやすい冬でありました。桜のつぼみも膨らみ、もう春本番といってもよいくらいです。しかし、今年度は新型コロナウィルス感染症拡大防止のために、この年度末に全国のほとんどの学校が前代未聞の臨時休業となっています。世界中が、また日本中がこの未曽有の危機を乗り切るために、イベントの中止や娯楽施設の休館など、様々な対策がとられています。そして今も、いつから学校が再開できるのかわからない状況でもあります。しかし、これまでの歴史が示しているように、この状況も必ず終息します。マイナス思考ではなく、プラス思考で、こんなにまとまった自由な時間があることはない、と考え、今しかできないこと、家庭の中でしかできないことに挑戦してほしいと思います。

 3月1日の卒業式は大変立派な式となりました。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、例年とは異なる形での卒業式となりました。在校生の皆さんは一部を除いて参加できませんでしたが、例年以上に心のこもった暖かい卒業式となりました。私の式辞、門出の言葉、そして生徒会長の贈る言葉をホームページに掲載していますので、読んでおいてください。

 そして、昨日、新1年生、普通科180名の合格を発表しました。昨年より70名少なくなっています。生徒数が減少することはさみしいことではありますが、入試に来ていた様子を見る限り、元気で頼もしい存在に映りました。皆さんには慣れない1年生を側面から支えてもらいたいと思います。

 また、1年生244名、2年生257名のそれぞれの進級を認めました。新2年生は中堅学年として、1年生を引っ張り学校のかなめとしての役割が求められます。新3年生は最高学年として、部活動、そして入試と結果を残さなければならない学年です。いつ学校が再開しても、よいスタートダッシュが切れるよう、心の準備をしておいてください。元気な皆さんと再び会える日を祈念して、令和元年度第3学期の終わりの言葉にしたいと思います。

 

令和2年3月19日

 愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮

 

令和元年度卒業証書授与式式辞

 道後平野に吹く風や草木の緑からも春の息吹が感じられる季節となりました。この佳き日に、愛媛県知事代理愛媛県教育委員会人権教育課長酒井学様、愛媛県議会議員大政博文様、松前町長岡本靖様、をはじめ、保護者の皆様の御臨席を賜り、令和元年度第35回愛媛県立伊予高等学校卒業証書授与式を挙行できますこと、心より感謝申し上げます。

 はじめに、先般の新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、この卒業証書授与式に在校生を出席させないなど、例年と異なった式となっておりますこと、御理解・御協力よろしくお願いいたします。

 さて、ただいま卒業証書を授与した304名の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんとはわずか一年間でしたが、この学び舎でともに過ごし、たくさんの思い出をつくることができました。開校記念行事、運動会、文化祭など、これらの学校行事で皆さんが活躍する姿、また県総体や高文祭をはじめとする大会で活躍する姿が思い出されます。その皆さんが、今日をもって本校を去ることに、大きな寂しさを禁じえません。しかしながら、別れは新たな旅立ちでもあります。

皆さんがこれからの人生を歩んでいく上で大切にしてほしい二つの願いを、私からのはなむけの言葉として伝えます。

 一つ目は「人に感動を与えられる人間であれ」ということです。私は、「人に感動を与えられる人間」には、二つの要素があると考えます。一つは、本気で物事に取り組んでいる、本気で向き合っている人間です。しかしながら、いくら本気で物事に取り組んでいたとしても、それが自分本位な考えに基づいたもの、あるいは自分のすごさを自慢する高慢なものであったとしたら、私たちは心を動かされません。そこで、「人に感動を与えられる人間」のもう一つの要素が出てきます。それは仏教の用語でいうところの「利他」、人を利するために、他者のために動く人間です。人の幸せのために、人の喜びのために、みんなの幸せのために、社会の発展のために、自分の私利私欲を満たすためではなく、あるいは自分のエゴにとらわれることなく、本気で取り組み本気で向き合う人を見て、私たちは心動かされるのです。イエスやブッダなどの教えが、世界中に広くいきわたった理由もそこにあると思います。「本気」であるからこそ感動を呼ぶのです。

 さて、もう一つ皆さんに伝えたい二つ目の願いは「人から感謝される人間であれ」ということです。「人から感謝される人間」といっても、感謝されたいと思って行動することは逆に不自然なことです。だから、けっして、「人に感謝される人間になる」ことを目的にしてはならないと思いますが、そのためには、まずは自らが物事に感謝できる人間であることが必要だと思います。感謝には三段階あると思います。第一段階の感謝は、自分がしてくれたことに感謝すること。これは普通の感謝です。第二段階は、日常の当たり前であることに感謝できること。そして、第三段階の感謝は、自分に起きてしまった一見不幸なことにも感謝できること。言うのは簡単ですが、なかなか難しいことです。しかし、こうした感謝の気持ちを自然に「ありがとう」と表現できることが、おそらく皆さんの人生を豊かにしていくと思います。以上が、私の皆さんに対する最後のメッセージです。「感動」と「感謝」、この二つの「感」を皆さんが歩む人生の中で大切にしてください。

 今年の卒業式は、令和になって初めての卒業式となりました。グローバル化、少子高齢化、そして人口減少、外国人労働者の増加など、社会を取り巻く情勢は混とんとし、不透明感が漂っています。しかし、新しい時代をこれから担っていくのは皆さん自身です。皆さんはこの三年間、伊予高で勉強や部活動に取り組んできました。学校改革を進めているちょうどその過渡期に、皆さんはこの伊予高校に在籍しました。タブレットを使った授業、電子黒板機能付きプロジェクター、そして探究の授業。自分から動かなければけっして、前に向いて進んでいくことはない、そういう主体性が問われる活動を皆さんは行ってきました。たとえどの道に進んでいこうとも、またどんな困難に出くわしても、この伊予高で培われた力はきっと皆さんを支えてくれるに違いない、と私は確信しています。今年度の生徒会テーマは「積」でした。積極的の積、積み重ねの積、下積みの積。皆さんはこの積という字で何を連想するでしょうか。今年はオリンピックイヤーでもあります。何人ものヒーローがきっと誕生することでしょう。賞賛の光が当てられるでしょう。しかし、その裏には積み重ねられた努力の山があるに違いありません。皆さん、大きな夢を持ってください。そして、努力を重ねてください。その先にはきっと光り輝く未来が待っています。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、お子様の御卒業誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。心身ともに大きく成長した卒業生の姿を見て、頼もしく感じます。この3年間、PTA活動をはじめ様々な面で温かい御理解並びに積極的な御協力、御支援をいただき、誠にありがとうございました。文化祭をはじめ、多くの行事や部活動等で大きな成果を収めることができましたのも、ひとえに保護者の皆様のおかげと、深く感謝申し上げます。今後も変わらぬ御支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 卒業生の皆さん、いよいよお別れの時がやってきました。皆さんが、伊予高校で手に入れた多くの宝物を胸に、笑顔を絶やさず力強く歩んでいくことを願い、式辞といたします。

 

令和2年3月1日 愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮

 

令和元年度第3学期始業式式辞

 皆さん、おはようございます。新年、あけましておめでとうございます。

 令和2年、2020年が始まりました。1年の始まりに当たって、今年はどんな年にしたいのか、もう決めたでしょうか。

 3年生の皆さんは、伊予高校に登校するのもあと3週間あまりとなりました。やり残したことはないでしょうか。進路実現のために今、猛勉強している人もいます。心を強く持って最後まであきらめずにがんばってほしいと思います。また、初めて自宅を離れる人、就職する人など、大きく環境が変わる人もいるでしょう。正念場の1年となります。1・2年の皆さんは、この3学期をよく3年生・2年生の0学期と言ったりします。あっという間の3学期ですが、ここをどう過ごすかで、来年のスタートラインが変わってきます。2年生は、来月3年生が登校しなくなると最上級生です。また、1年生は来年新入生が入学するとそのお手本にならなければなりません。自覚を持ってこの3学期を過ごしてほしいと思います。

 さて、今年は令和2年、令和になって初めてのお正月を迎えました。そして、何といっても今年2020は東京オリンピック、パラリンピック開催の年です。すでに準備も整いつつあり、先日もサッカーの天皇杯の決勝を新しい国立競技場で行っていました。本校でも修学旅行をパラリンピック開催に合わせ、関東班は実際パラリンピックを観戦します。日本選手の活躍もさることながら、世界のアスリートの活躍を身近に見ることができるのは、本当に幸せなことで今からとても楽しみです。

 さて、年末のニュースで、2019年の日本の出生数が記録を取り始めた1899年以降で初めて90万人を下回る見通しであることが報道されていました。このため、2015年1億2710万人だった総人口が2029年、今から10年後には1億1千万人台、2042年に1億人台、2053年、皆さんが50歳になったら、9千万人台になると試算されています。生産年齢人口の減少のため労働者不足、それを埋めるために外国人労働者やAI人工知能が必要不可欠なのです。こういう状況の中で、私たち人間は何をすればよいのでしょうか。

 それは実は簡単なことで、人間にしかできないことをする、ということです。その人間にしかできないことをするためには、何がしかの努力をしなければならないということです。スマホやパソコンを使って情報活用能力を養うことも大切ですが、生き伸びていくための力を身に付ける最大の方策は、毎日の一時間一時間の授業です。勉強はテストのためにするわけではありません。また、大学や短大に行きたいから勉強するのでもありません。数学の数式とにらめっこしながら、理科の実験をしながら、英語のリスニング、スピーキングをしながら、皆さんは生きていくすべを学んでいるのです。これら様々な教科を勉強することで、生きていく上で必要な言語能力や問題発見・解決能力、表現力、思考力、判断力などを知らず知らずのうちに身に付けているのです。授業に集中してください。先生方は1時間の授業のために3時間も4時間も勉強しておられます。今日の授業ではいったいどんなことを教えていただくのだろうか、絶えず前向きに取り組んでみてください。やらされ感があるうちはまだだめです。きっと勉強が楽しいものになってきます。

3学期、皆さんが勉強にそして部活動に今まで以上にがんばってくれることを期待して式辞とします。

令和2年1月8日 愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮

 

令和元年度第2学期終業式式辞

 長かった2学期も今日で終わりです。例年この時期に今年の流行語大賞とか、今年の漢字とか、一年を振り返る行事があります。今年の流行語大賞は先日も紹介した2019日本ワールドカップ、日本チームの初のベスト8と「ワンチーム」でした。さて今年の漢字は何という漢字か、皆さん知っているでしょうか。毎年12月12日の漢字の日に、日本漢字能力検定協会の一般公募で最多だったものが京都・清水寺で発表されます。そして森清範(もりせいはん)貫主(かんす)が特大サイズの和紙に大筆で一字をしたためます。今年は「令」でした。新しい元号、令和の令でした。令和の典拠は、『万葉集』ということです。確認される限りにおいて初めて漢籍ではなく日本の古典から選定された元号です。「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められています。さて、皆さんの今年の一字は何でしょうか。今年の私の一字は「転」でした。転勤の転、回転の転です。私にとって、今年はこの伊予高校に転勤した、転任したということがやはり一番の出来事でした。8年ぶりの伊予高校、前回の勤務は8年だったので、9年目に突入、勤務した学校の中で最も長くなりました。第二の母校です。そして、制服も、校舎もその時と変わっていませんが、伊予高校は今、大きく変わろうとしています。

 一つは、探究の時間です。皆さんは探究の時間、好きですか。興味を持って取り組んでいますか。人から与えられる課題ではなく、自分自身が決めた課題に取り組み、そして調べ、まとめ、最後に発表する。苦手な人もいたと思いますが、人からやらされる学習ではなく、自分で動かなければ前へ進まない、本来の勉強とはこういうものだと思います。大学や短大に進学するためだけのものでなく、将来、職業について生きていく上で必要な力を身に付けるために行っています。そして、今、この伊予高で卒業までに皆さんに身に付けてほしい力を先生方に考えてもらっています。3つの大きなカテゴリーと9つの力です。決まり次第皆さんにもお知らせしたいと思います。

 二つ目は、総合科目選択制度です。これは幅広い選択肢の中から、自分に必要な科目を選択していく制度です。そのため従来行っていた2年生から行っていた文系・理系という類型選択を廃止しました。ただ、自分にとってどんな科目が必要であるかを意識していなければなりません。1年生、2年生は来年の科目選択の最終局面に来ているのではないかと思います。自分の人生です。自分自身でしっかりと考え、迷ったときは、先生や保護者の方と十分相談して選択してほしいと思います。

 さて、愛媛県では11月11日から12月10日までの1か月間を「差別をなくする強調月間」と定めています。本校でもこの1か月に様々な人権を考える行事が行われました。全校集会、人権・同和教育ホームルーム活動、いじめアンケート、デートDV講演会、などです。皆さん、「人権とは何でしょうか」。「どういうことでしょうか」私は、「人が生まれながらにして持っているもの、かけがえのないもの、おかしてはならないもの」と考えます。法務省のホームページを見ると、人権とはすべての人々が生命と自由を確保し,それぞれの幸福を追求する権利」「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」であり、誰にとっても身近で大切なもの、日常の思いやりの心によって守られるもの、とありました。私がこの中で注目したのは、次の3点です。まずみんなが持っているということ、みなさん生徒一人一人、そして、横にいらっしゃる先生方一人一人にあるということ、そして二つ目は人それぞれの幸せを追求するためにあるということ、そして、三つめは思いやりの心で守ることができるということ。今日は特に最後の思いやりの心について、皆さんに考えてほしいと思います。家族はもちろんのこと、友達、そして皆さんを導いてくださっている先生方に、思いやりの気持ちを働かせているでしょうか。年末の今だからこそ、自分を支えてくれている身近な人へ、今一度感謝の気持ちを現してほしいと思います。

 あっという間の冬休みですが、一度この2019年を総括して、来るべき2020年、令和2年を迎えてほしいと思います。くれぐれも病気やけがのないように、3学期の始業式で元気な皆さんに会えることを楽しみにしています。

 

令和元年12月20日

愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮

 

校長室より 令和元年度第2学期始業式式辞(2019.8.26)

 

 皆さん、おはようございます。いよいよ今日から第2学期のスタートです。皆さんは、1か月余りの夏休みを有意義に過ごせたでしょうか。
 さて、夏休み中、吉本興業の闇営業問題やあおり運転など暗いニュースが多い中で、小泉進次郎衆議院議員が2020東京オリンピックの招致に重要な役割を果たした滝川クリステルさんと結婚、というおめでたいニュースがありました。一昨年の笑顔あふれる愛媛国体からもう2年が経とうとしていますが、いよいよ2020東京オリンピックの開会まで1年を切りました。東京オリンピックは、2020年7月24日(金)から8月9日(日)までの予定で開催されます。もうチケットの販売は終わったようですが、皆さんの中にまた、周囲の人で実際見に行く、参加する、という人はいますでしょうか。最近、代表選手が決まったとのニュースも聞くようになりました。
 さて、伊予高校ですが、来年度オリンピック開催後のパラリンピック開催中に修学旅行を計画しています。もちろん、関東班はこのパラリンピックの試合を観戦することにしています。オリンピックと同じようにテレビ中継もされるようになりましたので、多分皆さんもこのパラリンピックについてある程度知っているのではないかと思います。パラリンピックとは、身体障がい者(肢体不自由(上肢・下肢および欠損、麻痺)、脳性麻痺、視覚障がい、知的障がい)を対象とした世界最高峰の障がい者スポーツの総合競技大会です。近代オリンピックは1896年に始まりましたが、パラリンピックは遅れること64年、1960年にイタリアのローマ大会から始まりました。来年開かれる東京大会は第16回ということになります。確かに、パラリンピックは大きな大会に成長しましたが、障がい者スポーツすべてを網羅しているわけではありません。パラリンピック以外にも聴覚障がい者のデフリンピックや知的障がい者のスペシャルオリンピックスもあります。伊予高校では、このパラリンピックを観戦することで、「基本的人権」や「社会保障」について学び、多様性を理解するとともに共生できる社会(インクルーシブな社会)の実現に向けて、主体的な活動ができるようになることを目指します。
 また、オリンピックといえば、競泳の池江璃花子選手のことが気にかかります。2月に自分の病気のことを公表して以来、半年が経とうとしています。愛媛国体でも大活躍した池江選手ですが、先日韓国で開かれた世界選手権の中で、彼女のライバルである外国のメダリストたちが、自分の手に池江選手を応援するメッセージを書いて、SNSにあげていました。このニュースを聞いて私は、つくづくスポーツというものは良いものだなあと思いました。言葉や文化は違えど、スポーツを通じて心の中でつながっている。人間の温かみを感じました。皆さんは今、運動会というグループ活動の一大イベントが目前に迫っています。グループ長だけでは、また応援団長だけでは絶対に成功させることはできません。活動を一緒に行う同じグループの先輩、友達、後輩のことを考えて初めて心が通じ合う、そしてそれが筋書きのないドラマへと発展し感動をよぶのです。
 この2学期も皆さんの生き生きとした、そして活躍している姿をみることを願って式辞とします。
 令和元年8月26日
 愛媛県立伊予高等学校長 芳之内 亮

校長室より 令和元年度第1学期終業式式辞(2019.7.19)

 おはようございます。昨日の野球応援、お疲れ様でした。残念な結果に終わりましたが、全校生徒で応援し、自分は伊予高の一員なのだという連帯感を味わうことができたことは、本当にすばらしいことです。応援のリーダーをはじめ、吹奏楽部のみなさん、生徒会、家庭クラブのみなさんに改めて感謝したいと思います。ありがとうございました。さて、今日で第1学期が終わります。みなさんはどのような1学期を過ごしたでしょうか。新しい令和の時代になってもう3か月がたとうとしています。少し違和感があった令和元年も、ようやくしっくりしてきました。新しい時代を迎え、自分の目標を立て、それに対して努力をしているでしょうか。今日は皆さんに2つのことを話します。

 一つ目は、言葉をそして言葉遣いを大切にしてほしいということです。皆さんは親兄弟、先輩、後輩、そして先生と話すとき、言葉遣いを気にしているでしょうか。親しき仲にも礼儀あり、先生、両親など目上の人に話すときには、きちんとした、そして丁寧な言葉遣いが必要だと思います。一方、先生も同じで、生徒は成長途上の未熟なものではあるけれども、一人の人間として接する、話す、ということは言うまでもありません。また、スマホの普及に伴って短いメールやメッセージを送ることが多くなりました。相手の顔を見ながら話していると、その表情から相手がどう思っているか、自然と分かります。電話では相手の表情は見えないけれど、相手がどう思っているかどうかはその口調で分かります。しかし、メールやラインはそれが一切分からないので、一字一字の言葉の持つ意味がとても重要になってきます。また、顔文字やスタンプも使いようによっては誤解を招きます。自分の言葉で発信する際は、慎重にも慎重を重ねて送らなければならないと思います。このライン、メールを受け取って相手はどう思うか。相手の気持ちになって考えることが重要です。皆さんには一つ一つの言葉を大切にして、人の痛みが分かる人間になってもらいたいと思います。

 二つ目は、皆さん一人一人が伊予高校の広告塔(宣伝の中心)であると言うことです。少子高齢化と言われてからもう長くなりました。最近では人口減少、そのために移住奨励、という言葉さえ聞くようになりました。本校の生徒数もその影響からか、ここ数年減少しています。今年の1年生は250名です。伊予高校37年間の歴史の中で最も少ない数であると思います。いかにして生徒数を増やすか、そのために伊予高校を少しでも魅力のある学校にしていかなくてはなりません。そのために、探究活動を充実させるとともに、総合科目選択制度を実施しています。ホームページも充実させ、伊予高校のことを少しでも多くの中学生に知ってもらうために様々な努力をしています。しかし、何より一番効果があるのは、皆さんが元気に活動する姿を地域の人、中学生に見せることです。1年生は先日インターンシップを行いました。わずか1日ではありましたが、先生方の報告を聞くと、すばらしい活動ができ、たくさんのお褒めの言葉も頂いているようです。伊予高校の制服を着ている皆さん一人一人が、部活動や勉強など活躍している姿を中学生に見せることで、特に何をしなくとも自然に生徒は集まってきます。逆に皆さんが地域の人たちの信用を下げるようなことをすれば、これまた自然と生徒が離れていってしまうでしょう。夏休み、地域に出ることもあるかと思います。地域の目を十分に意識して活動してください。

 さて、1年前の西日本豪雨災害による被害は、本県にも大きな爪痕を残しました。健康、安全が一番です。夏休みの皆さんの活動が充実したものとなり、8月26日の第2学期の始業式に皆さんが元気で参加できることを祈念して、終業式の式辞とします。

令和元年7月19日
愛媛県立伊予高等学校長 芳之内亮