第18代校長 佐藤 栄治

校長室より

令和6年度 第42回入学式式辞

2024年4月9日 14時59分

 春爛漫の時期を迎えた今日の佳き日に、松前町長 田中 浩介様をはじめ、多くの来賓の皆様をお迎えして、令和6年度 愛媛県立伊予高等学校入学式をこのように盛大に挙行できますことは、本校にとりましてこの上のない喜びです。今までお子様の成長を見守ってこられた保護者の皆様、心よりお祝い申し上げます。

 さて、193名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を在校生・教職員一同、心から歓迎いたします。みなさんも、入学にあたり、これから始まる高校生活への期待に胸を膨らませているのではないかと思います。

 本校は「生徒の無限の可能性を引き出し伸ばす」ことを教育目標に 皆さんに 丁寧に、そして真剣に向き合って参ります。新入生の皆さん、この目標を達成するために、高校入学を一つの転機として様々なことに果敢に挑戦してください。

 人は過去を基準に考えるので、自分にはできない、無理かもしれないと思い込む悪い癖がでることがあります。しかし、それでは自分の中に眠っている無限の可能性は引き出せません。すべてがうまくいくことはないでしょう。でも、その一つが今まで気づかなかった自分の発見につながれば良いのです。仮に失敗しても決して無駄ではありません。勇気を出していろいろなことにチャレンジしてください。それが皆さんの成長につながり、将来につながっていくことでしょう。

 「仕事は自分で見つけるべきものだ。また職業は自分でこしらえるべきものだ。」これは、トヨタグループの創始者 豊田佐吉さんの言葉です。当時の社会は今より変化のスピードはきっとゆっくりだったでしょう。どんな時代でも同じことを漫然と繰り返さず、新しいものを創り出すことが成功の秘訣ではないでしょうか。

 では、同じことを繰り返さず、新しいものを作り出す力はどうすれば身に付くのでしょうか。それは、日々の学習や部活動、学校行事に積極的に取り組んで物事の本質をつかみ、自分のものとすることで身に付きます。自分のものにすることによって、問題を発見して解決の糸口を見いだせるようになります。

 本校は、皆さんの成長を促すきっかけとなる様々なプログラムを用意し、地域の協力の下で推進しています。その学びを自分のものにできたとき、激動の時代を生き抜く真の「生きる力」が身に付くはずです。私たちは、皆さんが深い学びを身に付けた豊かな人間に成長されることを願いながら取り組んでいきます。

 新入生の皆さんが、一日も早く、先輩や先生方と力を合わせて魅力ある学校づくりを一緒に推進する伊予高校の一員となること、そしてこれから本校で学ぶことが、地域をそして将来の日本を支える優れた人間に成長するきっかけになることを祈念して、式辞といたします。

令和6年4月8日

 愛媛県立伊予高等学校長 佐藤 栄治

令和6年度 第1学期始業式式辞

2024年4月9日 14時54分

 今年は桜の開花が少し遅いようで、今満開を迎えています。

 さて、今日から新学期です。進級おめでとうございます。新しい学年になって、一人一人が決意を新たにしていることと思います。

 3年生のみなさん。みなさんは最高学年。進路を決める大切な学年です。2年生のみなさん。みなさんは、先輩と呼ばれるようになります。1年生を正しい方向に導く、良き見本になってください。

 本校の指導目標は昨年と同じ「生徒の無限の可能性を引き出し伸ばす 教育活動の推進」とします。私たち教職員は、「皆さんの無限の可能性」を引き出そうと努めてきましたが、改めて目標を再確認したいと思います。

 何かをきっかけに周囲がびっくりするくらい伸びる人がいます。その何かのきっかけは生徒の皆さんの心の中に生まれるものです。そのきっかけをつかむためには、向上心が不可欠です。向上心を持って生活するということは、何らかの目標を持つことです。皆さんは、新しい学年になって、何か目標を立てましたか。まだの人は、ぜひ目標を立ててください。

 私も何度も経験しましたが、せっかく目標を立てても、三日坊主になることがあります。立派な目標を立てても努力が長続きしない経験はだれでもあるものです。でも、想像以上に努力が継続できた経験がある人もいるのではないでしょうか。例えば、部活動で、もう少しで勝てる、もう少しで完成すると思った時。きっと、きつい練習や活動にも積極的に取り組めたのではないでしょうか。これが到底勝てない、完成しないと思ったらそうはいきません。

それでは、努力を継続するためにはどうすれば良いか考えてみたいと思います。

 一つは、目標が頑張れば達成できそうなものであること。目標が高すぎると、どうせ無理と思ってしまいます。成功イメージが描けなくなります。逆に低すぎると怠けてしまいます。目標は、少し無理すれば達成でき、成功イメージが具体的に描けるようなものでないと 努力の継続にはつながりません。

 二つ目は、成功するための道筋が明確なことです。一週間、一カ月といった短期・中期の目標があって、具体的にどのような道筋で目標の達成を目指すのか、それはいつまでに行動するのかなど、スモールステップで小さな達成感を味わいながら、最終目標に近づいていくことが大切です。人は、小さな成功体験を積み重ねることで、喜びと共に 少しずつ自信も出てきて、大きな目標にたどり着けるようになるものです。

 でも、目標を一人で達成することは容易なことではありません。ぜひ友人や先生方にも協力してもらいましょう。生徒の皆さん一人一人の向上心が本校を創るエネルギーです。皆さんと先生方との間に すばらしい相互作用が生まれ、伊予高校がますます発展することを祈念して、式辞とします。

令和六年四月八日

         愛媛県立伊予高等学校長  佐藤栄治

第3学期終業式式辞

令和5年度 第3学期終業式 式辞

おはようございます。長かった令和5年度も本日で終わりとなります。この令和5年度は、今まで苦しめられてきた新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類に移行したため、様々な学校行事等も制限なく実施することができ、本校も皆さんのおかげでますます活気が出てきたように思います。

また、この3学期は3か月しかないので、非常に短く感じましたが、その中で3月11日の後期の探Qの発表会は、初めて松前中学校と合同で行うことができました。松前町長さんをはじめとして、多くの大学の先生方にも参加していただき、皆さんの日ごろの取組を見ていただくことができまして、本当によかったと感じています。部活動では吹奏楽部の打楽器の皆さんが四国予選を勝ち抜き、アンサンブルコンテスト全国大会に十数年ぶりに出場することになりました。そのほか、まだまだ紹介しきれないくらい多くの皆さんが、活発に活動、活躍していただき、本当にうれしく思っています。

このように頑張ってくれた3学期ですが、明日から春休みとなります。皆さんはそれぞれ進級して、これからも学校の中心として活躍してもらうこととなります。特に、3年生になりますと、進路を決定しなければならない学年となりますし、2年生もその準備のための重要な学年となります。春休みは、ゆっくりする時間も取れますが、次に向けての準備期間でもあるため、しっかり目標を持って生活してください。

さて、本日は、生徒会誌「おおとり」の中で私が書いている内容を、あまり読んでくれないと思いますから、抜粋してここで少し紹介したいと思います。

どのような内容かと言いますと、

“令和6年1月1日に能登半島で震度7の大地震が起こり、多くの犠牲者が出ました。また、世界に目を移すと、ウクライナや中東では戦争が継続して起こっており、被害が拡大しています。今更ではありますが、日常の幸せ、そして平和の大切さを実感しています。ただ、1941年(昭和16年)から1945年(昭和20年)には、この平和な日本も第二次世界大戦(アジア太平洋戦争)に参戦しており、その結果、壊滅的な被害を受けています。

先日、映画化された「窓ぎわのトットちゃん」は、このような時代を背景にしたものですが、全て黒柳徹子さんの自筆で執筆されており、日本国内での累計発行部数は800万部以上で「戦後最大のベストセラー」となっています。世界35か国で翻訳され、令和5年10月時点で全世界累計発行部数は2500万部を突破し、「最も多く発行された単一著者による自叙伝」としてギネス世界記録の認定を受けています。物語は、東京都目黒区自由が丘にかつて存在し、黒柳さんが通学していたトモエ学園を舞台に、ご自身の小学生時代についてはもちろんのこと、トモエ学園におけるユニークな教育方法などが書かれている完全なノンフィクション作品となっています。

この作品の最後に、アメリカの飛行機から爆弾が投下され、トモエ学園が焼けてしまう場面がありますが、その火を見ながらトモエ学園の小林校長先生が、自分の息子さんに向かって、「おい、今度は、どんな学校、つくろうか?」と言うくだりがあります。この学校は、小林先生の私財で作った学校ですから、強い思い入れがあったのは想像できますし、それがなくなることへの落胆は計り知れません。それを今焼けている学校を見ながら、未来のことを語るという、小林先生の挫折を知らない前向きな姿勢には、戦後、すぐに日本を復興させただけでなく、世界の先進国に導いた、この当時の人たちのたくましさと素晴らしさを感じることができました。

ここで「おおとり」の内容から外れます。戦後、焼け野原となった日本ですが、我々の先輩たちの努力で、現在はどのようになっているかを見てみます。

よくテレビや新聞では、日本のダメなところを多く報道しているため、皆さんも日本という国は、大したことがないと思っている人も多いと思います。しかし、日本は世界有数の経済大国で、GDP(国内総生産)は、先日ドイツに抜かれて世界4位にはなりましたが、先進国の中でも非常に発展している国です。あまり外国に行ったことのない皆さんは、日本の素晴らしさを感じる機会がないと思いますが、海外旅行先としてもリピーターの多い国となっています。

参考として、2つの世界ランキングを見てみます。

U.S.ニュース&ワールド誌が発表した「世界のベスト・カントリー・ランキング2023

1位:スイス 2位:カナダ 3位:スウェーデン 4位:オーストラリア

5位:アメリカ 6位:日本 7位:ドイツ 8位:ニュージーランド  

9位:イギリス 10位:オランダ

 

〇世界経済フォーラムが発表した「2021年 観光魅力度ランキング」

1位:日本 2位:アメリカ 3位:スペイン 4位:フランス 5位:ドイツ

6位:スイス 7位:オーストラリア 8位:イギリス 9位:シンガポール

10位:イタリア

このように、日本は外国人から見ても、世界有数の行ってみたい国となっており、魅力のある国であることは間違いありません。

それでは、このように発展している日本が、これからどのような社会を目指しているかということを動画で見ていただきたいと思います。この動画は、昨年度1学期始業式でも流しましたが、在校生は1度も見たことがないと思いますので、ぜひ見てみてください。

※ ここで、Society 5.0 『すぐそこの未来』篇の動画の紹介をされました。

女優の上白石萌音さんが出演されている動画です。

このように「Society 5.0」の社会がすぐそこまでやってきています。みなさんは、それを踏まえて、これからどのような活動をすればよいのか、どのように学習すればよいのかをしっかり考え、もちろん進路を決める時にも参考にしてほしいと思います。

さて、再度「おおとり」に戻りますが、

“「窓ぎわのトットちゃん」の黒柳徹子さんは、昭和28年、日本でテレビの放送を開始した初日からテレビ出演を続けており、日本史上最初のテレビ女優としては唯一、現在もテレビのレギュラー番組を継続して持ち続けています。また、長年ユニセフ親善大使を務めていることでも知られています。

それでは、このように長年活躍できた理由を、今はやりのチャットGPTで検索してみると、次のような結果が出てきました。「①温かさと親しみやすさ 相手を大切に思いやる気持ちや優しさが感じられる、②ポジティブな姿勢:困難な状況でも前向きな姿勢を崩さない、③適応力と柔軟性:時代の変化や様々なプロジェクトに対応する力がある、④知的好奇心:幅広い知識が、深い話題を提供し、視聴者や読者に新しい視点を与えている。」

私は、始業式や終業式の式辞で、努めて「前向き」「積極性」「頑張る」「努力する」というワードを入れてきました。学校だけでなく、社会に出てからも人は学び続けると思いますが、皆さんも様々な経験を通して、常に時代の変化に対応できる前向きな姿勢と、人としての温かみを兼ね備えた人物となれるよう、これからも頑張ってほしいと思います。

以上、このような内容を「おおとり」には、書かせていただきました。

春休みは、先に述べましたように、ゆっくりする時間もありますが、次の学年への準備の期間でもありますから、そのことをしっかり意識して生活してください。

それでは、皆さんが健康で、有意義な春休みを送られることを祈念しまして、式辞といたします。

                                        令和6年3月19日 
                                         愛媛県立伊予高等学校長 武智 誠治


令和5年度 第39回卒業証書授与式 式辞

厳しい冬の寒さに耐え、かぐわしい香りを放つ紅白の梅の花、すべての物に春の兆しを感じる今日の佳き日に、愛媛県議会議員 大政 博文様、松前町長 田中 浩介様をはじめとした多数の御来賓の皆様、そして保護者の皆様をお迎えして、令和五年度 愛媛県立伊予高等学校 第三十九回卒業証書授与式をこのように挙行できますことは、在校生、教職員一同の大きな喜びであります。

また、卒業生の保護者の皆様には、入学以来、お子様の健やかな成長を願い、支えてこられた愛情の深さに心から敬意を表しますとともに、無事に卒業の日を迎えられたことを心からお慶び申し上げます。

 さて、ただ今、卒業証書を授与しました百六名の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、この教育環境の充実した伊予高校において、3年間の本校所定の教育課程を無事終了し、めでたく卒業の日を迎えることとなりました。これは、皆さんが、たゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であることは言うまでもありません。その努力に対し、心から拍手を送ります。

振り返ってみますと、皆さんは入学時から三学級と、同級生の少ない学年としてスタートしました。そのうえ、コロナの影響もあり、様々な学校行事等が中止や縮小され、いろいろと残念に思うことが多かったのではないでしょうか。しかし、今年度は昨年五月に新型コロナウイルス感染症が五類に移行したこともあり、四年ぶりに活発な学校生活が戻り、卒業生が中心となった運動会は、本当に素晴らしく、思い出に残るものとなりました。皆さんの持ち前の明るさと前向きな心、そして仲間たちと知恵を出し合い、協力しながら、何事も乗り越えていこうとする姿を拝見していると、私もこれからの時代を背負っていく若者が育っていると感じ、本当に心強く思いました。

現在、世界は中東やウクライナの不安定な情勢、AIの発達による社会の変化、そして国内でも少子高齢化による人口減少など、今後、懸念される問題も多く、予断が許されない状況となっています。このような状況ではありますが、皆さんは本日で「高校時代」というステージから、次のステージへと歩を進めて行きます。

現パナソニックの創業者で「経営の神様」と言われた松下幸之助さんは、次のように言っています。「失敗の多くは、成功するまでに、あきらめてしまうところに原因がある。最後の最後まで、あきらめてはいけない。」

私たちは、誰でも、くじけそうになる時があります。そのような時、本校で培った積極性と精神力で、最後まであきらめず、しっかり自分の道を歩んでほしいと思います。

結びになりますが、本日、皆さんがこうして無事、卒業の日を迎えられるのは、常に変わらぬ愛情を注ぎ、励まして来られたご家族や、ある時は厳しく、また、ある時は温かく指導してくださった先生方、そして何よりも地域の方々のご支援があったからこそです。これらの方々への感謝の気持ちを忘れず、将来は自立した社会人として、たとえ小さなことでも一人一人が自分にできることをしっかりと社会に返して行くことで、地域を支え、そして愛媛、日本を担う人材になってほしいと思います。

それでは、卒業される皆さんが、これから、それぞれの場所で、豊かな人生を送られることを心から祈念して、式辞といたします。

令和六年三月一日

愛媛県立伊予高等学校長 武智 誠治


令和5年度 第3学期始業式 式辞

おはようございます。いよいよ2024年、そして3学期のスタートとなりました。冬休み中は、どのように過ごしたでしょうか。ゆっくり過ごせた人もいれば、受験勉強や部活動などに忙しい毎日を送っていた人もいると思います。

さて、みなさんもご存じのとおり、元日の1月1日に能登半島地震といわれる、石川県を中心とした北陸地方で震度7の大地震が起こりました。この地震で、多くの方が被災され、昨日(1/8)までに亡くなった人が168名、安否不明者が323名となっており、非常に多くの人が被害にあわれました。正月のゆっくりしていた時の突然の地震ということで、言い表すことができないほど気の毒なことですし、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

また、この地震の次の日の1月2日には、羽田空港で飛行機同士の衝突事故が起こり、5名の方が亡くなっています。羽田空港は、2年生も修学旅行で使いましたから、まだ記憶に新しいところだと思います。

このように、災害とは思いがけないところや、思いがけないタイミングでやってきます。火災はもちろん、地震についても、西日本は「南海トラフ地震が発生する前の『地震活動期』に入っている」と言われており、今後30年間に7080%の確率で、南海トラフ大地震が起こると考えられています。私たちが安全だと思って生活している地域でも、いつ大地震が発生するかわかりませんし、我々の日常は、自然の力によって瞬時に壊される可能性もあります。このようなことを考えると、先を見越して「準備」を怠らないことが大切で、毎年数回実施している避難訓練等についても、危機感をもって、今後も取り組んでほしいと思います。

「準備」については、1学期終業式でもお話ししましたが、このような自然災害だけでなく、もうすぐ必ず訪れる進学や就職、そして部活動などの大会等にも備えて「準備」をするのは当たり前のことです。

皆さんも、いろいろな夢や希望があると思いますが、その夢をかなえたいのなら、まずはしっかり勉強したり、練習したりするのは当然だと思いますが、単に「覚える」「計算できる」、またはスポーツで「速く走る」など、いろいろな能力を高めるだけでなく、それを磨きつつ「最後まであきらめない」「頑張り続ける」という、人としての成長も不可欠だと思います。

よく駅伝やマラソンは、人の人生に例えられることがありますが、このような長距離を走るためには、やはり「最後まであきらめない」ということが大切だと聞いています。

有名なマラソンランナーでオリンピックにも3大会連続で出場した君原健二さんは、練習やレースの苦しい時、「まず次の電柱まで走ろう」と念じながら走っていたそうです。それを走りながら何回も繰り返すことで、75歳にしてボストンマラソンを4時間53分で完走したのをはじめ、74回のフルマラソンをすべて完走しています。

「次の電柱まで」、そしてそこまで行くとまた「次の電柱まで」と、一つずつ目標を移しながら走っていくというのは、本当に粘り強く素晴らしいことで、これが「最後まであきらめない」ということにつながっているように感じます。

よく「千里の道も一歩から」と言われますが、あまり遠くに目標をおいてしまうと、達成までに息切れがして、しんどくなってしまいます。皆さんも、毎日の小テストやトレーニングなどで達成可能な目印を決めて、それに向かって地道に努力することで、最終的な目標に近づいていけるようにしてほしいと思います。

先ほど挙げたように、皆さんは、近い将来、進学や就職、そして部活動では大会やコンクールなどを控えている人ばかりです。入試や大会は、どうしても他の人たちとの競争であるため、ほとんどの人は、そこで合格したい、または勝ち抜きたいと思っています。

このような競争の世界では、最初の一歩が、「コツコツと努力する」ということだと私は思っています。当然、それができないのであれば、二歩目はありません。一日一日を大切にして、まずは「コツコツと努力する」という第一歩目をしっかり踏み出し、毎日の小さな目標(目印)を達成することで、最終的には自分の将来の夢や目標に到達できるよう頑張ってほしいと思います。

それでは、今日から3学期が始まりますが、健康には十分気を付けて、目標を持った日々を送っていただくことを祈念して式辞といたします。

                                       令和6年1月9日 
愛媛県立伊予高等学校長 武智 誠治


 令和5年度 第2学期終業式 式辞

みなさん、おはようございます。

いよいよ本日で2学期も終わり、明日から冬休みとなります。この2学期には、運動会、文化祭を始めとして、多くの学校行事がありました。いろいろと皆さんも忙しかったと思いますが、御協力いただき本当にありがとうございました。部活動においても、吹奏楽部が全日本吹奏楽コンクール全国大会に4年ぶりに出場し、本校の吹奏楽部にとって、さらに大きな一歩を踏み出してくれました。また、ホッケー部は、全国高等学校選抜ホッケー大会四国地区予選会で、男女が初めてアベック優勝を飾り、全国大会に出場することになっています。これら以外にも、先ほど賞状を伝達したように、多くの生徒が日々頑張ってくれました。

2学期は、このように忙しい毎日ではありましたが、明日から冬休みになります。ただ、補習や部活動等もあり、特に受験を控えている人たちは、なかなかゆっくりできないかもしれませんが、体調を壊さないように十分気を付けて欲しいと思います。

さて、今日は「経験」についてお話をしたいと思います。皆さんも、探Qや部活動だけでなく、いろいろな場面で多くの体験や経験をしていることと思いますが、一番身近なものの中に掃除があります。これは、毎日やっているもので、本校の生徒は、比較的頑張っている人が多いと思います。その掃除の意義について調べてみますと、ある企業の社長さんは、次のように言っています。「キレイな職場は、そこで行われる仕事の価値そのものを高めます。反対に、玄関やトイレが汚れていたり、チリがあっても気付かず通り過ぎたりする職場には、気づかないうちに空気がよどんで、仕事もうまく進まなくなります。その職場がどのような状態であるかということは、そこで働く人たちの心や、その職場の目に見えない中身を映し出す『鏡』そのものでもあるのです。」

これは、学校でも同じだと思います。本校もよくお客さんが来られますが、掃除が行き届いているかどうかは、その学校や生徒の皆さんの評価にもつながってきます。

このように、掃除一つをとっても、いろいろと考えさせられますが、これに関連して、25年ほど前に、私が経験したことをお話しします。私がある学校に勤務していていた時、長年ハンドボール部の顧問をしていたのですが、その学校が毎回大会の会場になっていたため、自分の学校の生徒たちと、準備から片付けまでをほとんど行っていました。もちろん大会ですから、勝つことが目標なので、試合にも集中しないといけないため、その当時の生徒たちは本当にしんどい思いをしていたと思います。皆さんも、試合などで別の高校に行く機会もあると思いますが、試合だけして帰れるのであれば、こんなに楽なことはありません。

その当時、ゴミの分別ということが、非常に厳しく言われるようになってきた時代であったため、学校側からは、ゴミの処理ができないのであれば、今後は会場として貸さないと厳重に言われていました。特に、弁当ガラについては、大会開始前に参加者全員を集めて、必ず持って帰ることを強くお願いして試合を行いました。いざ片付けとなった時、ゴミ箱などを確認していると、ゴミ箱はもちろん自動販売機の空缶などを入れるところまで、弁当ガラがぎっしり捨てられていました。ほとんど片付けが終わり、手伝ってくれていた他校の生徒たちも帰ってしまった後にそれが判明したため、そこから自分の学校の生徒だけで、処理をすることになりました。弁当ガラといっても、食べ残しの残飯が多く入っており、それを分別するために、初めは箸で処理していましたが、あまりの多さに、その当時は使い捨ての手袋などがあまりなかったため、最後は素手で残飯をかき分けて、弁当ガラをきれいに洗うという作業になりました。

その作業をしていると、女子の一人が泣きながら、「何でわかってくれんのやろ」と言っていたのを今でも覚えています。私も、その時は、怒りがこみ上げていましたが、後から冷静になって思ったのは、「つらかったかもしれないが、このような経験をすることによって、この子たちは絶対にポイ捨てや人に迷惑をかけない人間に育ってくれるだろう」ということです。私自身も、これらの準備・片付けだけでなく、ゴミの処理などの経験を通して、「人の世話ができることの大切さ」や、「清掃することの重要さ」を身に染みて感じることができました。

この世の中には、「自分には関係ない」、「誰かがやるだろう」と思って無責任な行動をとる人も多くいます。本校でも、ゴミの分別などについては、時々注意をされることがありますが、自分が捨てた先には、そのゴミを処理する人たちがいることをこれからも忘れないようにしていただきたいと思います。また、ゴミだけでなく、何事も自分の行動の先に何があるのかを意識することで、世の中の仕組みなどがはっきりと見えてくるのではないでしょうか。学校は、勉強はもちろん大切ですが、私は一人の人間として、いかなるときも、最後は「人としてどうあるべきか」が問われていると信じています。自分さえよければ、自分さえ楽ならあとはどうでもよいという考えや行動をするのではなく、自分の行動が他の人たちにどのように影響するのかを常に考え、これからも生活を送ってほしいと思います。

この冬休みは年末年始を挟んでいますが、特に進路の決まっていない3年生にとっては正念場となりますし、1・2年生にとっても3学期への大切な準備期間にもなります。そういう意味で、1日1日を大切にして、有意義な冬休みを送っていもらいたいと思います。

最後なりますが、生徒の皆さんにとって、来たる2024年が素晴らしい年となることを祈念して式辞といたします。

                                       令和5年12月20日

愛媛県立伊予高等学校長 武智 誠治


 令和5年度 第2学期始業式 式辞

みなさん、おはようございます。

長かった夏休みも終わり、今日から2学期となりました。1学期の終業式に、私は夏休みは熱い中ではありますが、できるだけ将来ために準備を心がけ、何事も前向きに取り組んでほしいというお話ししました。さて、どのような生活が送れたでしょうか。

皆さん一人一人にとっても、いろいろなことがこの夏休み中にはあったのではないかと思いますが、代表的な本校の活動を紹介します。まず8月3・4日にNIEの全国大会が松山市であり、「はだか麦」のことを題材に多くの生徒が参加して、他の学校を圧倒するような立派な活動と発表ができました。また、部活動としては、インターハイに男女のホッケー部の皆さんが出場して、男子は神奈川県の慶應義塾高校に残念ながら敗れてしまいましたが、女子は創部2年目で全国ベスト8となり、頑張ってくれました。そして、全国高等学校総合文化祭では書道部の今井葉月さんが特別賞を受賞、吹奏楽部は先日の8月20日に香川県において第71回全日本吹奏楽コンクール四国大会において金賞を獲得するとともに、上位2校に選ばれて全国大会に4年ぶりに出場することとなりました。

そのほか、松前町夏祭りの一環で松前公園体育館において開催された伊予高生との連携企画で、「紙飛行機飛ばし大会」や「ハイタッチギネスに挑戦」を生徒会の方たちが中心となって、企画運営を行っていただき、こちらも大盛況となりました。それから、松前町で4年ぶりに開催されました「はんぎり競漕大会」では、高校の部で「伊予高校Aチーム」が伊予高校のチームとして初めて優勝を飾り、「伊予高校Bチーム」が3位、「伊予高校Cチーム」が6位となりました。その上、宮内先生が一般女子の部で優勝となり、伊予高校が大活躍する日となりました。また、探Qの活動で松前町の特産である「しらす」のことを研究してくれていたり、そのほか多くの方が、熱い中ではありますが、補習や部活動等に頑張ってくれました。この頑張りが2学期以降に、実を結ぶと信じて、今後とも積極的な取組をお願いいたします。

さて、今日は、人生100年時代と言われている皆さんに、人口減少についてのお話をしたいと思います。この話は、今までにもいろいろな機会に聞いたことがあると思いますが、とりあえず現状をお話ししたいと思います。

まず、人口の推移です。日本と愛媛県です。特に、愛媛県は、2010年ころ140万人ほどの人口が、2030年には120万人ほどになり、この20年間で20万人(西条市が2つなくなるほど)減少するとみられています。

次に愛媛県の出生数です。昭和25年以前には、5万人以上の子供が生まれていたこともありましたが、平成27年(※2015年)には9,569人となり、1万人を切っています。そのうえ、コロナの影響もあり、昨年2022年には愛媛県で生まれた子どもの数が7,999人、初めて8,000人を下回り過去最少となりました。

次に、愛媛県の年齢別の人口です。これを見ていただくとよくわかると思いますが、ピンクの0~14歳の年少人口と、ブルーの15歳~64歳の生産年齢人口がどんどん減少しており、そのかわりに65歳以上の老年人口の割合が非常に大きくなっています。働き手となる人口が減っているのは、単に出生数が少なくなっているだけでなく、高校を卒業して愛媛県から出ていく人がいるということも一つの原因です。この調子でいくと、愛媛県では今治市、宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市、久万高原町、砥部町、内子町などが、今後消滅する可能性のある町として、消滅可能性都市にあげられています。

みなさんの故郷を将来にわたって存続させるためには、できるだけ地元に就職するとともに、地元がより魅力的で、多くの人たちが集まってくる町にしていくことが重要です。そのためにも、現在皆さんが取り組んでいる探Q活動のような取り組みをとおして、愛媛の良いところを見つけて、それを発信しながら、地元に対する愛着を深めることも大切だと思います。

それでは、今後、日本の産業はどのようになっていくかというと人手不足が深刻となり、仕事はあるのに人手不足が影響で企業がどんどん倒産していくと考えられています。日本では、2030年ころに644万人ほどが人手不足になります。

その不足している644万人をどのように埋めていくのかというと、「AIの活用」「働く女性を増やす」「働くシニアを増やす」「働く外国人を増やす」、この4つで埋めていくことになると言われています。このように、外国人労働者を含む、いろいろな層の人たちが労働力にならないと日本の経済は成り立たないと考えられています。そうなると、東京だけでなく、もちろん田舎にも外国人は働きに来ます。今は、外国人に出会うと珍しいなと思いますが、外国人と一緒に働くということが今後、普通になってくるのではないかと思われます。

 グローバル化とよく言われますが、このような時代がすぐそこまで来ており、本校でも来年度の修学旅行は、韓国コースを計画の中に入れていますし、皆さんも、次の時代に備えて、ICTを積極的に活用したり、英語を始めとするいろいろな教科、そしてコミュニケーション力の向上にも力を入れてほしいと思います。

また、先ほど述べましたように、愛媛の良いところを見つけて、それを発信しながら、地元に対する愛着を深めたりする取り組みも充実させてください。

最後になりますが、1学期の終業式では、皆さんに夏休み中も「将来のための準備」をしてほしいとお願いしましたが、この2学期は学校行事も多く、いろいろなことを経験できる学期となっています。これらを良い機会ととらえて、勉強はもちろんですが、何事もトライすることを忘れず、引き続き自分の将来のために、できる限りの頑張りを期待しています。

 それでは、本日からの二学期が、皆さんにとって有意義なものになることを祈念して式辞といたします。

令和5年8月25日

愛媛県立伊予高等学校長 武智 誠治


令和5年度 第1学期終業式 式辞 

  みなさん、おはようございます。

 本日で1学期が終わり、夏休みとなります。夏休みになるといっても、補習、部活動など、忙しい毎日が待っていますので、体調には十分気を付けてください。また、この期間に、先ほども壮行会のありましたインターハイ、全国高文祭、NIE全国大会や吹奏楽コンクールなど、いろいろな大会等がありますが、日ごろの成果を十分に発揮できるよう出場される方は頑張っていただきたいと思います。そして、生徒の皆さんにとって、この夏休みは、時間が十分あるので、普段挑戦できないことや、将来のことをしっかり考える期間にしてください。

 それでは、話題を変えますが、本日は「本の紹介」と、「準備」ということについてのお話をしたいと思います。

 私は、最近、あまり読書をしていないのですが、過去には、いろいろな本を読んできました。ジャンルとしては、歴史小説を一番好んでいましたが、その中でも、司馬遼太郎の作品を多く読んでいます。皆さんも読まれた方もいると思いますが、愛媛県出身の正岡子規と秋山兄弟が主人公となっている「坂の上の雲」は何回も読み直しています。この作品は、明治37年に起こった日露戦争を背景に、歴史に名を残している正岡子規の凄みのある生き方や、秋山好古の豪胆さ、秋山真之の緻密さだけでなく、明治という時代のすばらしさを感じることができるものとなっています。私は、この本を読むことで、日本人としての自信を得ることができましたし、一つのことを成し遂げるためには計画・準備と実行力が重要であるということを教えてもらえたようにも感じました。

 また、この本の最後の方に書かれていますが、日露戦争の英雄で、ロシアのバルチック艦隊との日本海海戦を勝利に導いた連合艦隊司令長官の東郷平八郎は、日露戦争後に『連合艦隊解散の辞』という訓示を行っています。その終わりの部分で、次のように述べています。

(現代訳)「万全の実力を充実して、時節の到来を待つならば、おそらく永遠に護国の大任を全うすることができるであろう。神は平素ひたすら鍛練に努め、戦う前に既に戦勝を約束された者に勝利の栄冠を授けると同時に、一勝に満足し太平に安閑としている者からは、ただちにその栄冠を取り上げてしまうであろう。昔のことわざにも教えている『勝って、兜の緒を締めよ』と。」

 このように、勝利を収めた後も、東郷平八郎は何かが起こることを想定して、常日ごろから準備をしておかなければならないと言っています。この文は、その当時アメリカの大統領であったルーズベルトが英語に翻訳して、全米の海軍軍人に配布したといわれるほどの名文でした。私たちも、平和な時代に生活していることをありがたく感じながらも、日ごろから、もしものことを想定して何事も準備をしておく必要があります。

 それでは、もう一人、準備のことで野球のイチローさんの言葉を紹介しておきます。イチローさんのことは、野球をあまり知らない人でもご存じたと思いますが、彼がアメリカのメジャーリーグで、ものすごい記録を打ち立てることのできた理由として、ご本人が次のような発言をされています。「ようするに“準備”というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということですね」と言っています。

 恥ずかしい話、社会人になっても、自分の準備ができておらず、成果が出なかっても、「あの人が悪い」、「この人がやってくれなかった」と言って、他人のせいにする人は多くいます。イチローさんは現代人ですが、先ほどお話しした日露戦争のことを例にとっても、何かを成し遂げようとする場合、昔から準備というものは、本当に大切だと考えられていたようです。

 我々は、交通事故、火事や地震などの命にかかわることだけでなく、近い将来やってくるのが確実である進学や就職等についても、学習習慣の確立や、部活動や探Qを含めた様々な活動の充実など、準備として取り組んでおかなければならないことが多くあります。明日からの夏休みは、「連合艦隊解散の辞」で言っています「太平に安閑としている」(安閑:のんびりとして静かなさま)時期になると思います。

 こののんびりできる期間に、自分として何ができるのか、そして将来のためにどのような準備をしたらいいのかということを、しっかり考えて一日一日を大切に、前向きな生活を送っていただきたいと思います。

 それでは、皆さんが健康で、有意義な夏休みを過ごされることを祈念して、一学期終業式の式辞といたします。

令和5年7月20日

愛媛県立伊予高等学校長  武智 誠治

 

 

令和5年度 第1学期始業式 式辞 

 最近は、非常に暖かく、本当に過ごしやすい日々が続いていますが、いよいよ、本日、令和5年度がスタートします。

 3年生は最終学年として、学校を引っ張るだけでなく、本格的に進路を考える学年となります。また、2年生は、後輩が入学してくるということもあり、先輩としてしっかり見本を示すことができる人物になれるよう、人間的な成長を期待しています。

 さて、まずはマスクのことをお知らせします。今までいろいろな面で皆さんの生活を苦しめてきた新型コロナウイルスについては、今後もインフルエンザと同じように注意は必要だとは思いますが、4月からはマスクの着用は不要になりました。ただ、気になる人は、もちろんしてもらっていても構いませんので、よろしくお願いします。

 それでは、今日は、先入観について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。3月に、野球のWBCがありましたが、多くの人がその試合を見たのではないかと思います。日本は、ご存じの通り優勝しまして、本当に素晴らしい成果を残しました。その決勝でアメリカと対戦する前に、大谷翔平選手が、ロッカールームで、ほかの選手に声をかけた言葉が、メディア等でも何回も取り上げられていますが、ちょっとどのようなことを言ったのかを見てみたいと思います。大谷選手は、「ファーストにゴールド・シュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。」と、チーム全体に声をかけて試合に臨んでいます。

 話は変わりますが、私も若いころ、松山北高校でハンドボール部の顧問をしていましたが、赴任して5年間は、県で優勝する実力はあるなと思っても、それまで優勝してきたチームと対戦すると勝てない大会が続いていました。しかし、1度勝ってしまうと、どんどん連続で優勝することができるようになりまして、自分たちの方が、ちょっと実力的に劣っているなと思う時でも勝ち続けることができました。ようするに、1度勝ってからは、勝つのは自分たちだという意識ができたというだけでなく、相手チームがあそこにはかなわないと思ってくれて、勝手に転んでくれるという現象が長く続いたことを覚えています。

 この話も、先ほどのWBCの話も、これは誰しもが持っている先入観だと思います。あの人にはかなわない、あそこには合格できないなど、皆さんもいろいろな先入観を持っていると思います。

 前向きな先入観を持つのだったらいいのですが、マイナスの先入観を持ってしまうと、自分の実力が十分発揮できない原因となります。

 私は、皆さんには無限の可能性があると思っています。自分自身が知らず知らずの間にストップをかけたり、もしかしたら人より劣っているのではないかと考えるのではなく、常に前向きに、こんなこともやってやろう、あんなことにも挑戦してやろうという気持ちで生活できれば、たぶん自分の実力以上の成果が得られると思います。

 令和5年度は、今日からスタートしますが、今お話ししたように、何事にも挑戦することを忘れず、そして、午後には新入生も入学してきますので、先輩として、そして伊予高校をけん引する中心の学年であるという自覚をもって、しっかり頑張ってほしいと思います。

 それでは、いろいろとお話ししましたが、今年度の皆さんの健康と活躍を祈念しまして、式辞といたします。

令和5年4月10日 愛媛県立伊予高等学校長  武智 誠治

 


令和5年度 第41回入学式 式辞 

  穏やかな春の日差しが暖かくなってきた今日の佳き日に、松前町長 岡本靖様をはじめとしたご来賓並びに、保護者の皆様をお迎えして、令和五年度 愛媛県立伊予高等学校 入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上のない喜びであります。また、今までお子様の成長を見守ってこられた保護者の皆様には、本日のご入学を心からお祝い申し上げます。

 さて、ただ今、入学を許可いたしました192名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を在校生・教職員一同、心から歓迎いたします。

 今年度は、4年ぶりにマスク着用の義務がなくなった入学式となり、今まで様々な面で制約されてきた学校生活も、今後大きく変わっていくことになります。

 このように変化の年ではありますが、本校は昨年度で、創立40周年を迎えることができました。県内では、まだまだ歴史の浅い学校ではありますが、皆さんは、本校の41回目の入学生として、本日から、この伊予高校の一員となり、我々と一緒に新たな伝統を築き上げていくことになります。それと同時に、これから始まる高校生活への期待に胸を膨らませていることだと思います。私は、皆さんとともに、41年目を迎えることができることを本当にうれしく思っています。

 本校での授業や部活動等を含めた様々な活動の中には、学力だけでなく、人間的な成長を促してくれるものが多くあります。多様な学校行事をはじめ、皆さんが初めて経験するものもありますが、それらに積極的に参加することで、人として大きく成長してほしいと思います。

 また、学習面においても、何事も真剣に取り組み、将来の目標を見つけることができるよう心掛けてください。高校の授業は、中学校に比べると、内容も多く、進度も早くなりますが、先生方の指導にしっかり向き合い、学問の基礎を広く見渡すことで、自分が将来、より専門的に学びたいと感じる分野に出会うはずです。そういう意味で、伊予高校での3年間は、皆さんの人生の分岐点となります。一日一日を大切にして、充実した高校生活を送ってください。

 最後になりますが、新入生の皆さんが、先輩や先生方と力を合わせて、元気で生き生きと、魅力ある学校づくりに加わり、将来は様々な分野を支える人材に成長してくれることを、切に希望して式辞といたします。

 

令和5年4月10日 愛媛県立伊予高等学校長  武智 誠治