【アクティブ・ラーニング】リーダー育英塾
2019年1月30日 11時04分電通育英会 第1期リーダー育英塾
〇開催日時
2018年8月6日(月)~8日(水)
〇開催場所
クロス・ウェーブ船橋
〇主催
京都大学溝上研究室、立教大学中原研究室、電通育英会(三者共催)
〇講師
溝上慎一(京都大学 高等教育研究開発センター教授・教育アセスメント室長)
中原淳(立教大学経営学部教授)
河合亨(立命館大学教育開発推進機構講師)
畑野快(大阪府立大学高等教育開発センター准教授)
川妻篤史(桐蔭学園中学校・高等学校・中等教育学校教育企画室室長・教務部次長)
舘野泰一(立教大学経営学部助教)
田中聡(立教大学経営学部助教)
〇日程
8月6日:オリエンテーション、Session1トランジション・レクチャー、
Session2分科会、懇親会
8月7日:オリエンテーション、前日のフォローアップ、Workshop1桐蔭学園の取組、
Workshop2立教大学の取り組み、Session3個人ワーク
8月8日:オリエンテーション、記念撮影、Session4ポスターセッション、講評・修了証授与
「トランジション(高大社連携)を意識した教育改革」を、高等学校・大学で推進していく「次世代リーダー」の育成を目的として、リーダー育英塾が実施され、参加してきました。昨年3月に実施の要項が発表され、選考課題、事前課題を経て、8月6日から3日間、研修を受けました。
リーダー育英塾は、2008年から10年間実施されていた大学生研究フォーラムのテーマが大学生研究から高大接続へ、そして「学校から仕事・社会へのトランジション」へとシフトした結果、実施されたものです。研修には、中学校教員から高校教員、大学の研究者や職員・管理職など、学校種も役職も幅広い参加者が集まっていました。
普段、高校教員の立場から高大接続やキャリア教育の視点に立って取り組んでいるつもりであっても、研修の中で振り返ってみると実際に参加している中学校、中等教育学校、大学の教職員と相互の問題意識のズレを感じることが少なくありませんでした。しかし、そのズレを積み重ねていくことで新しい考え方が生まれ、また自分の中で新たな問題意識が生まれるという場面が多くありました。高校では、授業改革や入試改革について議論されることが多いですが、学校種の位置づけを理解し、自身の学校種の課題意識から他の学校種や社会全体の課題意識に離れて、相対化して元の学校種の視点に戻る、この往還が重要であることを実感できました。お互いのズレを恐れず、理解し合うことで議論ができ、より高いレベルで議論ができると感じました。
高校や大学における先進的な取組について研修を受けたほか、リーダーシップとイノベーションの普及について学びました。リーダーとは「やらせる人」ではなく、「周囲を巻き込み、共にやり抜く人」です。そして、「変わろうとする目標や課題を設定し、皆で変わろう、新しいものを生み出そうとする状態」がリーダーシップであり、特別な才能や資質ではないとも考えています。今ある状況を変えていったり、新しいものを生み出していったりするには、組織内で「反発」や「白け」は必ず起こりうるため、いかにしてイノベーションが普及していく状態を作っていくかが重要であると考えられます。今回の研修参加者の中にも、学校なだけでなく、企業やNPO、地域を巻き込んだ取組を進められている人も多く見られ、非常に多くの刺激を受けることができました。
分科会では、それぞれの受講者が自校・自大学で取り組むべき課題について分析し、1年間で実施可能な課題への取組を検討していきました。私は、研修参加の事前課題を授業改善のテーマで提出し、研修でブラッシュアップしながら、最終のポスターセッションに臨みました。授業改善において、アクティブラーニング型の授業やリフレクションは手段としてはもちろん有効ですが、目先の授業方法だけでなく、もっと根源的な教育を通じて目指すものについて再考すべきと感じました。同時に、教師自身も学ぶ主体として、生徒のモデルになることが望ましいと痛感しました。
目の前の生徒と向き合うことが教員の職務ですが、変化の激しいこれから時代において社会で求められる人材をしっかりと研究し、トランジションリレーの中で高校教育の果たすべき役割を探究・実践していくことで、生徒の可能性をより引き出していくことができると考えています。
また、3日間の研修を通じて、自校や地域、学校種にとどまらず、教育改革を志すコミュニティーに参加し、結束を固めることができました。これからも刺激し合い、成長していける教育のネットワークを築くことができたのは、貴重な財産であると感じました。(画像は、電通育英会様が撮影されたものです。)