連休中に読んだ新聞に、次のような内容の記事がありました(要約)。
13~14世紀、モンゴル帝国がユーラシア大陸の大半を統合したことで、アジアとヨーロッパが結び付き、人・モノ・カネ・情報がさかんに行き交うようになった。ところが、交易がさかんになると、ペストが流行し、ヨーロッパでは人口の3分の1が死んだ。そうすると、それまで神を信じていた人たちが「神様はいないのでは…」「どうせ死ぬなら好き勝手に」となって、ペストは従来の価値観に大きな変化をもたらした。これがルネサンスにつながる。
一方、ペストによる大量死で、極端な労働力不足に陥ったため、領主は、農民の労働意欲を高めるために土地を貸し出した。農民たちは、何を植えるか、羊を飼うか、自分で考え自分で行動し、その成果も自分で受け入れるようになった。これが資本主義、自由経済の始まり。ペストの流行により、資本主義が芽生えた。
新型コロナウイルスによる外出自粛は、テレワークやネット授業を急速に普及させている。新たな感染症の流行がもたらす変化を、私たちは熟考すべきだ。
(朝日新聞 令和2年5月5日別刷から)
いかがでしょうか。「部活がないからつまらない」「教室で授業がないので勉強ができない」など、「当たり前だ」と思ってきた学校生活がこれまでどおりにできない事態を、どう受け止めるのか。今までの生活に戻りたい思いだけで、これまでの価値観にとらわれたままで、そのまま漫然と過ごしてよいのだろうか。
進路希望を再考してみてください。このまま今の進路希望を進めて、その分野の仕事に就いて、生活できるのだろうか。アルバイトを当てにした進学で、本当にやっていけるのだろうか。
生活に困った人たちのニュースがあふれていますが、それをどう読み解いていますか。どう自分と結びつけていますか。
世の中全体の生活の枠組みが変わる今(パラダイムシフト)、「新しい生活」という言葉を自分のものとして、どう生活を見直し対応していくか。毎日の生活の中で、何をすべきか、自分で考え自分で行動し、どう自分を育てるかが重要ではないでしょうか。
今までとは違う新しい枠組みの中で、自らを高めるためのアクションが求められています。
休業期間中にゴールデンウイークも終わってしまいました。毎年、楽しみにしていた祝日ですが、今年はそのほとんどを自宅で過ごしたことでしょう。現在のところ11日より学校が再開される予定ですが、日本全体や世界の状況を見るとまだまだ先行きは不透明で、不安が残ります。学校再開となっても、緊張感を持って過ごしましょう。
さて、ここで紹介する「Google Arts & Culture」ですが、これはGoogleが提供するアートに特化したサイトです。世界80か国、2000以上の美術館や博物館の作品が掲載されています。そして、一番の見どころは「ストリートビュー」を使って、多くの美術館を散策することができるところです。オンライン上ではありますが、実際に世界の有名な美術館にいるような雰囲気にさせてくれます。自宅でアートを楽しんでみましょう。
Google Arts & Culture https://artsandculture.google.com/
4月下旬のある日、新聞を読んでいると、「新型コロナウイルス感染リスクを避けるため、ネットを活用した遠隔授業を大学が始める」の記事の横にある「ネットにデマ投稿して罰金30万円」の記事が目に入りました。
この記事は、2017年に、高速道路であおり運転をして相手を死亡させた加害者の勤務先が北九州市内の建設会社だなどと、デマ(誤った情報)をネットの掲示板サイトに書き込み、建設会社の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)罪で起訴された5人に、裁判所が罰金30万円の命令を出したというものです。
当時、この建設会社には、誤った情報を信じた多くの人たちから、嫌がらせや攻撃の電話がかかり、仕事ができなくなってしまいました。会社は警察に訴え、警察がネット上で誤った情報を書き込んだ人を特定したのです。
皆さんは、ネット上に多くの誤った情報が登場することは、すでに知っているでしょう。しかし、自分が周りの人に見せるために、誤った情報を「書き込」んだり、「転載」したりしたことはありませんか。
新型コロナウイルス感染に関する話題でも、誤った情報を流された人(店)が悲しんでいる、怒っている、という新聞記事を目にします。記事にはなっていないけれど、誤った情報を流されて困っている人が他にもいるのではないでしょうか。もしかすると、身近なところにも。
不安定な世相ですが、私たちが余裕を失って「誤った情報」を信じ、「拡散」し、他者をねたんだり攻撃したりすることのないよう、冷静さを保って生活していきたいものです。
休業が長期化し、直接友達と会えないため、SNS等で「つながる」機会も多いと思います。正しく利用すれば、学習の手助けや、コミュニケーションのための道具として、生活の支えとなる素晴らしいものです。しかし、休業が長期化し友達と最後に出会った時と、友達の状況も変化しているかもしれません。実際に会うと、表情や素振りから伝わる情報もSNSの文字や動画を通した情報では伝わらないことも多いです。もう一度、SNSを使用する際に発信する言葉や写真、動画の内容を見直してください。そして、常にあなたが発信した情報を受け取った人が、どう感じるかを気にかけてください。